武蔵野地域にある都立公園のオフィシャル情報を発信しています。

むさしのの都立公園

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公園には雑木林や小川など、むさしのの貴重な自然が、今もなお残っています。 季節の変化を感じたり、たくさんの生きものに出会ったり、公園の自然を満喫しよう!

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むさしのの都立公園でみられる生きものの情報が満載のセルフガイドシート。 レンジャーミニ図鑑を持ってむさしのの都立公園へ自然観察にでかけよう。

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  16. チョウ
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  1. 【武蔵野公園】 樹木観察マップ
  2. 【野川公園】 樹木観察マップ
  3. 【武蔵国分寺公園】 樹木観察マップ

パークレンジャーからのメッセージ

パークレンジャーが季節のオススメ情報や自然の見方をガイドします。

2021年10月27日(水)

秋の鳴く虫を楽しもう!


秋も深まり、公園を歩いていると鳴く虫たちの演奏が心地よく聞こえてきます。
この音色を聞くと、私たちは秋の訪れを感じますが、鳴く虫の声を楽しむ文化はいつ頃から始まったのでしょうか。また、鳴く虫はなぜ鳴くのでしょうか。

今回、公園に暮らす「秋の鳴く虫」をテーマに、鳴く虫の歴史や生態、公園の取り組み等についてご紹介した動画を作成しました!この動画を通して、自然と人のつながりや文化を楽しんでもらえたら嬉しいです。ぜひ、ご覧ください!
英語の字幕もありますので、英語圏の方もぜひお楽しみください♪

2021年9月08日(水)

秋を彩る花~ツルボ~

まだまだ暑いと思っていた季節も移り、朝夕もひんやりとする日が増えてきました。
公園ではセミの鳴き声の合間に、コオロギなどの虫の音も聞こえ始め、秋の気配を感じます。

 

今回は、見ごろを迎えた「ツルボ」の花を紹介します。
ツルボは細長く伸びた茎に、うす紫色の小さい花がたくさん集まって咲きます。

道端や土手などの日当たりの良いところが好きで、高さは人の足首から膝くらいまでになります。
公園を歩いているとあちらこちらで顔を出していて、まとまって咲く姿もよく見かけます。

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野川公園の10畳くらいある大群落はお見事!

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花に光が射すと、淡く輝く絨毯が敷かれているようで、一際目を引きます。

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公園では「生物多様性スポット」として、植生にあった草刈りを行い、昔から武蔵野で見られる野草を保全する場所を作っています。

この場所は、春には在来種のカントウタンポポ、初夏にはネジバナも大きな群落を作り、四季を通して楽しんでいただけます。
野川公園にお越しの際は、ぜひお寄りください♪

2021年8月30日(月)

ばったランドで耳をすまして

暑かったり雨が続いたりと、目まぐるしい天気が続いていますが、生きものたちは元気に過ごしています。
先日、公園のばったランドで、小さな小さな昆虫に出会いました。

写真1ホシササキリ幼虫

キリギリスの仲間、ホシササキリの幼虫です。ストライプがおしゃれですね。
キリギリスの仲間は触角が長いのが特徴です。まだはねが生えていませんのできれいな声で鳴くのは、もう少し先です。
これが成虫になると…

写真2ホシササキリ成虫
上のようになります。
ホシササキリの成虫のオスは前ばねの根元をこすり合わせて「ジー、ジー」などと鳴きます。

キリギリス類の中でも、ササキリの仲間は種類が多く、
「シリリリ」「ピチッピチッ」などといろいろな声で鳴きます。
種類によって出す音が違うので比べてみるのも面白そうです。
公園で鳴く虫にはコオロギの仲間もいます。
こちらは「リリリ」「コロコロコロ」というような低めの声で鳴くものが多いです。

ばったランドにしゃがんで目をつぶって耳をすますと
周りの林から聞こえるセミの合唱の間に、小さくコオロギの仲間の声が聞こえました。
これから、大きくなってはねがはえたキリギリスの仲間の声も加わっていくことでしょう。
一足早く秋らしい音色が聞こえるかもしれません。

写真3バッタランドの様子

2021年7月30日(金)

セミのヌケガラ

梅雨が明け、待望の夏がやってきました。

長い雨がやみ、色々な生きものも「待ってました!」とばかりに活動をはじめています。夏を代表する生きものといえば、やはり「セミ」。いろいろな鳴き声で公園をにぎやかにしてくれます。

アブラゼミ_R

今回はセミ本体ではなく、その抜け殻に注目していきます。

アブラゼミ殻_R

皆さんがよく見かけるセミのヌケガラは、幼虫が成虫になるために最後の脱皮(羽化)をするときに脱いだカラです。生きているセミは警戒心が強くじっくりと観察するのは難しいですが、ヌケガラならじっくりと観察することができます。

 

公園で2種類のヌケガラを見つけてきました。まずはこの2種類を見比べてみましょう。

大きくてツヤツヤのヌケガラと小さくて泥がついているヌケガラ、大きさも表面も違います。写真の左側がアブラゼミ、右側がニイニイゼミのヌケガラです。なぜこんなに違うのかというと、ニイニイゼミの幼虫は湿った場所を好み、さらに表面がザラザラしているためヌケガラが泥だらけになります。セミの種類によってヌケガラの特徴も変わってきます。

 

次はアブラゼミのヌケガラの顔を見てみましょう。

セミ_ページ_3_R

赤丸で囲った鼻みたいな部分に黒い模様があり、これがアブラゼミの特徴の一つです。

 

今度は2つのヌケガラのお尻を見比べてみましょう。

セミ_ページ_2_R

写真の赤丸の中に縦に割れ目があるのがわかるでしょうか?この割れ目は卵を産むための「産卵管」になる部分でメスにしかありません。

 

最後にヌケガラの中を見てみましょう。そのまま割ると崩れてしまうので、少しお湯につけて半分に切ります。

ヌケガラの真ん中に白い糸状の物がいっぱい付いています。この糸は背中の割れ目からも少し出ている時がありますね。この糸はセミが息をしているところで「気門」といいます。セミだけでなく昆虫は口や鼻ではなく、この気門で息をしています。

 

ヌケガラをじっくり観察するだけでもセミの種類や特徴、オスなのかメスなのか、昆虫の体のつくりなどたくさんの発見があります。ぜひ色々なヌケガラを観察してみて新しい発見をしてみてください!

 

まだまだ暑い日が続きますが、セミたちの元気な鳴き声を聞きながら散策や観察を楽しんではいかがでしょうか。

外出する際はこまめな水分補給を忘れず熱中症に気を付けてくださいね。

2021年6月19日(土)

6月のオススメ「ネジバナ」

いよいよ、関東も梅雨入りしましたね。
雨の恵みを受けて、公園の緑もさらに色が深まり、夏本番前の静かなひととき。
このシーズンのオススメは、「ネジバナ」です。

 

日当たりのよい草原や芝生などに生える、小さなピンク色の花です。
よく見ると、花がねじれているように咲いているのが分かりますか。
花の名前の由来でもあります。

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ねじれ方は、「時計回り」と「反時計回り」があります。
因みに「時計回り」「反時計回り」の見方ですが、
「上から見るか」「下から見るか」で回転の向きが変わってしまいます。
一般的には、植物の立場になって根元から上を見る、というのが共通の見方のようです。

左:半時計まわり   右:時計回り

半時計まわり                   時計回り

 

ところで、実はねじれないものもあるんです。
花一本一本、本当にさまざま!
いろいろな咲き方を探してみると面白いですよ♪

まっすぐ ばらばら

まっすぐ                    ばらばら

 

そして、さらに花の様子をよくご覧ください。
5ミリほどの花ですが、ラン科の植物とあって小さいながらも華麗ですね。
こうした姿からファンも多く、シーズンになるとお問い合わせも多くなります。

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ネジバナは芝生の生育する場所に多くいる菌類の力を借りて発芽するため、
草地ならどこでも生えるというわけではありません。
よって公園では、見どころポイントとして刈り残すなどの取組も行っています。

公園へ来られた際には、ぜひご覧になってくださいね。

2021年5月27日(木)

「カメムシの色」

公園で虫をみつけたいなあ、と思ったらカメムシはみつけやすい昆虫としておすすめです。

「くさい」「家に入ってくる」ということであまりいいイメージを持たれませんが、
実はとても多様でいろいろな面白い特徴を持っている昆虫です。
ただし、つかまえると、その刺激(しげき)でくさいにおいをだすかもしれません。
そっと見るだけにしておきましょう。

 

さっそく、黄色い花の上で見つけました。
写真1ナガメ
ナガメというカメムシの仲間です。菜の花などアブラナ科の花が大好きなカメムシです。
それにしても、こんなに目立って鳥に見つかったりしないのでしょうか。

 

セリの仲間の花が好きなこのアカスジカメムシもかなり目立ちます。
(このときはセリの仲間ではないシソ科のメハジキにいました)
写真2アカスジカメムシ
カメムシには緑や茶色、黒白を基調とした落ち着いた色合いのものが多い一方で、
赤い模様があざやかなものやキラキラとかがやくものなど、はなやかなものも多いです。

 

ナガメなどのあざやかなものは色で目立つ作戦で「食べるとまずいよ、危険だよ」ということを知らせていると言われています。

 

脱皮(だっぴ)直後の、体が弱弱しい時にもこの作戦が使われます。
この写真のキバラヘリカメムシも脱皮(だっぴ)直後ですが、体があざやかな黄色、足は真っ赤です。
写真3キバラヘリカメムシ脱皮
他にも脱皮(だっぴ)直後は全身が赤くなるタイプのカメムシもいます。
カラフルな色はむしろ、天敵を寄せ付けないためのものという役割を持っているようです。

 

一方、多くのカメムシは緑色や茶色。植物の色に合わせて、目立たないよう天敵から身をかくそうとしているようです。
これはアカホシカスミカメという小さなカメムシです。
写真4アカホシカスミカメ

 

ただ、地味なタイプであっても、カメムシはあまり動きがすばやくないものも多く、
昼間明るいところによくいてくれるので比較的見つけやすいです。
はじめに書いたように敵におそわれるなど刺激(しげき)を受けると、足の付け根にある穴からにおいの物質を出します。
種類によっては、あまりくさく感じなかったり、反対にいいにおいと感じたりする場合もあります。
全体的には青くさいにおいですが、敵に対してこのにおいが強い武器となるので、
少々目につきやすくても身を守れるのかもしれません。

 

葉っぱの裏でこんなカメムシも見つけました。
写真5アカスジキンカメムシ幼虫
アカスジキンカメムシの幼虫です。
背中の模様をじっと見ていると、なんだかとっても楽しそうに笑っている顔に見えてきませんか。

 

カメムシは色だけでなく、模様もさまざま。
図形を組み合わせたような美しい模様や人の顔に見える模様など、よく見るとそれぞれ個性的で見比べたくなります。
幼虫と成虫では色・模様・形が大きく変化するのでそれを比べるのも楽しいです。

 

まだ、新型コロナウイルス感染症の心配はつきませんが、
カメムシの笑顔でちょっとほっとできたらいいですね。

2021年4月30日(金)

サクラの用心棒

サクラが満開だった早春も終わり、夏に向けて公園や緑道では草木の新緑を広げ、キレイな緑が目を楽しませてくれます。

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サクラももうすっかりと葉桜にかわり、のびのびと葉を広げています。

その葉をよ~く見てみると

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葉の根元に突起が二つ付いています。

この突起は「花外蜜線」といわれるもので、サクラ以外にも色々な植物にこの突起があります。

字の通り、花以外にある蜜を出す部分で、この蜜線からわずかに出てくる蜜でアリを引き寄せます。

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葉をいっぱい出したサクラの木の下にいて、毛虫が落ちてきた経験はありませんか?

実はその毛虫、この蜜を食べに来たアリに葉から落とされた毛虫かもしれません。

サクラの葉は人間が食べることができるほどおいしい葉で、もちろん毛虫にも大人気。

しかし、サクラは葉を全て食べられてしまうと困ってしまう・・・

そこで葉のすぐ近くから蜜を出して、アリという用心棒を雇い、葉を守っているのです。

 

パッと見るだけでは、小さなアリがサクラを上っているだけのように見えても、実は用心棒をしているなど、自然の中には生きもの同士の様々な関係があります。

なぜこの木に生きものが集まっているのか?

なぜいつも同じ生きものを同じ場所で見るのか?

様々な「なぜ?」を考えながら観察すると、生きものの新しい関係を発見できるかもしれません。

是非、新緑の中、さまざまなものに目を向けて楽しみながら歩いてみてはいかがでしょうか。

2021年3月20日(土)

ニッポン発見 / 

「桜のことば」

今年も花が次々と咲き出して、公園にも春が駆け足でやってきました。

この時期、桜の開花は天気予報で毎日話題となり、公園では見ごろはいつごろになるか、というお問い合わせが増えてきます。

どうしてこのように桜は私たちを引き付けるのでしょうか。

 

古くから日本では、春の始まりを告げる桜を愛でてきたようです。各地に「種まき桜」と名付けられた古木が残されていますが、これらは農事の始まりを知らせる木として大事にされてきました。

また、和歌や俳句などたくさんの文学に桜が登場してきました。現在の歌にも桜を歌ったものが多くあります。そこで、今回は桜にちなんだ言葉を取り上げてみました。

 

≪花の雲≫

サクラが満開の様子を表すことばです。「花」というだけで桜を指しています。

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コブシだって、ウメだって、満開はすばらしく、春の日差しの中で見ると嬉しくなる気持ちは同じです。でも、確かに一番「雲」の感じがするのはサクラかもしれません。

その秘密は花の付き方にあると思います。

写真2

 

サクラは、花の柄がウメなどより長く、しかも房になっている外側の柄が長いものが多いです。花がそろってよく見えて、風に揺れやすくなっています。だから遠くから見ると、よりふんわりした感じがするように思います。

 

≪花吹雪≫

はらはらと散る桜は人々に移り行く季節を感じさせます。

写真3

 

日本に植えられている桜の中では、ほとんどの品種が花びらだけが先に散ります。また、背が高い木が多く花弁も薄いので、風に乗りながら落ちていきます。これが川に落ちて水に浮かび、流れていく様子は≪花筏(はないかだ)≫という美しい言葉で呼ばれます。

 

散る姿を現す言葉は、花びらだけではありません。なんと歳時記には≪桜蕊降る(さくらしべふる)≫という季語もあるのです。

雄しべなどが花びらの散った後に残り、葉桜になったころ実がつかなかった花が萼ごと落ちてきます。華やかな花の季節が去った晩春の様子を表す季語です。

俳句など詩歌を作る人々が、いかに細やかに桜を観察してきたかがわかる言葉ですね。

 

他にも≪花冷え≫≪花曇り≫≪花疲れ≫など桜にちなんだ言葉はたくさんあります。「今日は花冷えだね」というだけで、何かほんのりと豊かな感じになるような気がします。

 

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*西武・武蔵野パートナーズでは、「ニッポン発見」プログラムとして、日本の自然や文化の豊かさ、魅力をブログやイベントを通して伝えています。ブログでは、誰かに伝えたくなるような、ちょっとしたお話を紹介します。

 

2021年2月28日(日)

虹と春と季節の言葉

今年は気温の上下が激しく、生き物たちも戸惑っているように感じます。

先日は、久しぶりの雨の後に大きな虹がかかりました。目にした方もいらっしゃったと思います。

今回は、その虹と春のお話です。

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冬に湿度が低く、晴れの日が多い関東では、実は今の時期に虹が見えることはまれです。

もし見られたとしても、冬は日差しも弱く乾燥しているので、くっきりとした虹が現れにくくなります。

 

日本には、季節を現す言葉がたくさんありますが、一年を72に分けた「七十二候」という暦があります。

その中の一つに「虹蔵不見(にじかくれてみえず)」というものがあり、これは11/22~26頃に当たります。

また、対になるものに「虹始見(にじはじめてあらわる)」というものがあり、これは4/14~19頃になります。

つまり、この間の期間は、昔から虹が現われにくいとされている頃なのです。

それが、春が深くなると共に、だんだんと空気が潤い、雨も増えてきます。

また、日差しが強くなるので、春になると雨上がりに虹を見られることが増えてくるのです。

 

また、「春に三日の晴れなし」という言葉もあります。

春になると、日本の上空を流れる偏西風が強くなるので、高気圧や低気圧の移動速度が速く、高気圧に何日も覆われることはあまりありません。

今回、虹が出たあと急速に晴れ、青空に虹、という綺麗な光景をみることができました。低気圧の移動速度が速いからこそ見られた現象です。

週間天気予報などを見ていて天気が周期的に変わってきたら、それは春の兆しです。

いつもの天気予報も、そんな目で見てみると、新しい発見があるかもしれません。

 

公園では、電線などに邪魔をされることなく、広い空を眺めることができます。

冬の澄んだ空から、白っぽく霞がかかった空になってきたら、もうすぐ春。

足元の変化も楽しいけど、たまには空を見上げてみるのも、面白いものですよ。

2021年1月31日(日)

森づくりの小さな担い手

季節は寒の内、一年で最も寒くなる時期になりました。木々の葉っぱはすっかりおち、

こずえの間から木漏れ日が差し込みます。

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毎年、落ち葉はどんどんと森に降り積もります。

しかし森の中は落ち葉で溢れてしまうようなことはありません。

どこに行ってしまったのでしょうか。

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今の森の様子です。これらの木の葉が全て落ちたはずなので、

もっと降り積もってもいいはずですが・・・

風で飛んで行った?踏みつけられて粉々になってしまった?

 

もちろん、それもあるかもしれませんが、実は森の土の中に秘密があります。

土の中には、落ち葉や枝を食べて暮らしている生きものが数えきれないほどたくさんいます。

降り積もった落ち葉や枝をまずは比較的大きな生きもの、ミミズやワラジムシ、ヤスデなどが食べた後、

さらに小さなダニやトビムシなどが食べて細かくしていきます。

 

このような生きものたちのことを「分解者」と呼びます。

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こちらが昨年の一月にボランティアの皆さんと作った落ち葉プール。

落ち葉があふれんばかりに詰まっています。

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そしてこちらが今年の一月の落ち葉プールの様子です。

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一年ですごく減っているのが分かりますね!

見た目は落ち葉に覆われていますが、少しだけ掘ってみると落ち葉はなくなりすぐに土が見えます。

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その土の中には夏に大人気のカブトムシの幼虫が!実はこの幼虫たちも代表的な分解者です。

カブトムシの幼虫の周りをよく見ると俵の形をした塊があります。

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これがカブトムシの幼虫の糞です。

一つつまんでつぶしてみると。。。

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まるで森の土のよう!

落ち葉や枝が多くの生きものに分解されて、だんだんと土になっていくのです。

こうしてできた栄養満点の土は、森の草木の成長を助けます。

また、色々な生きものが落ち葉や枝を食べながら土の中を移動することで、

土の中に隙間やトンネルができることで水や空気が流れやすくなります。

 

こうして小さな分解者たちが落ち葉や枝で作った土で植物が育ち、

その植物が葉を落とし、また分解される。

このサイクルを繰り返すことで豊かな森がつくられていきます。

自然の中では、長い年月をかけたリサイクルの仕組みが成り立っているのですね。

 

それぞれは小さな生き物ですが、その森を豊かにする大きな仕事をしています。

もし土を掘って見つけた時は、観察が終わったらそっと元通りにしてあげてくださいね。

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