パークレンジャーからのメッセージ
パークレンジャーが季節のオススメ情報や自然の見方をガイドします。
2022年4月20日(水)
芽吹きの色
気温の高い日が増えてきました。
今、公園は春の花がどんどん咲き、若葉も芽吹いて明るい色彩でいっぱいです。
野川公園の春景色です。
若葉の色が重なって細やかに変化しています。
全体に淡い色のパステルカラーの感じですね。
芽吹きの色合いは木の種類によって様々ですが、パステルカラーの筆頭はコナラではないかと思っています。

この屋根の向こうの木がコナラです。
抹茶ラテのような色合いですね!
どうしてこんなに白っぽく見えるのでしょうか。

芽吹きの頃のコナラの葉は細い毛でおおわれていて、
それが太陽の光に反射して全体が白っぽく見えています。
生まれたての柔らかな葉を守るために、毛で覆っているのでしょう。

さて目を移してみると、パステルカラーの木々の中に、アクセントのきいたビビッドカラーの若葉を発見!
赤い芽ぶきなので、その名も「アカメガシワ」です。
何とこれは葉の色ではなく、葉の上に生えた毛の色なのです。
そのため、こすると赤い色はとれてしまいます。
この赤い色は太陽光線の害を防ぐのに役立つと言われています。
柔らかな新芽を、強くなってきた日差しから守っているのですね。

こんなバラエティーに富んだ芽吹きの色ですが、春は急ぎ足。
とくにコナラの白っぽさはたちまち消えてしまいます。
ゴールデンウィークが来る頃には、微妙な木々の色合いの違いはなくなり、明るい緑色に置き換わっていきます。
たちまちのうちに変化していく、一瞬の色合いを目に焼き付けるのも、春の楽しみですね。
2022年3月19日(土)
昆虫の冬越し
3月に入り、暖かな陽気の日も増えてきましたね。
3月5日は「啓蟄(けいちつ)」と言い、冬ごもりしている生きもの達が一斉に動き出す時期に入ります。その前に、生きもの達がどうやって冬越ししているのか観察しようと、「野川公園緑の愛護ボランティアの会」の昆虫グループと一緒に調査にでかけました。
ここは、野川公園にある自然観察園です。国分寺崖線からの湧水が作りだす湿地が点在し、約400種の野草や野鳥・昆虫などが見られ自然の宝庫となっています。これらの貴重な自然を保護するために、「野川公園緑の愛護ボランティアの会」が四季を通じて活動しています。

今回は、冬に入る前に樹木に巻いた「こも(ワラなどを編んで作った敷物のこと)」の中で、冬越ししている昆虫を調べます。こも巻きは、昆虫にとって、冬の寒さから身を守り、ゆっくり眠れる暖かなお布団といったところでしょうか。主にマツを守るために行う伝統的な害虫駆除方法ですが、自然観察園では冬越しする昆虫の保全と調査を目的に巻いています。さて、どんな生きもの達がこもを利用しているのか見てみましょう!


いました!ナミテントウ等のテントウムシの仲間が集まっています。
よく見るといろいろな模様があって面白いですね。

こちらはエサキモンキツノカメムシ。
背中のハート模様が特徴です。

そして、ゴマダラチョウの幼虫も!
近年、見かけることが少なくなっていたので嬉しい発見です。

冬の厳しい寒さを、小さな体で懸命に耐え忍ぶ姿はとても逞しく感じました。
そして彼らは、今まさに動きはじめたころ!どうか元気で春を迎えていますように!
出会えたら、「よくがんばったね」と声をかけてあげようと思います。
2022年2月26日(土)
野草たちの寒さ対策
日が伸びて光は春めいてきましたが
まだまだ北風が冷たく、公園では厚手の上着が欠かせません。
それでも地面を見ると冬枯れの色の中に、少しずつ緑色が増えてきました。
野草たちの葉っぱがゆっくりと大きくなったり数を増やしたりしています。
その中で、こんな葉っぱを見たことはありませんか。

中心から丸く葉を広げて、ぺったりと地面に貼りつくようです。
一年中こうした形で葉を広げている、タンポポのような草もありますが、秋から葉を出す草の中には、冬の間だけこのように丸く広げるものもあります。
このような葉の付き方はバラの花のように中心から広がっているところから、「ロゼット」というちょっとおしゃれな名前で呼ばれています。
どうして、冬にはこのような葉っぱの付き方をするのでしょうか。
葉を広げることでお日様の光をたっぷり浴びることができ、
背が低く地面に貼りつくので寒さや乾燥を防ぎやすい、と言われています。
寒く厳しい冬を乗り越えて、もうすぐこうした草も花を咲かせることでしょう。
上の写真はハルジオンのロゼットです。川の土手、道端。いろいろなところで見つけられるとても身近な草です。たくさんありすぎてあまり注目されませんが、公園の春の風景には欠かせません。

野川公園の自然観察園ではいろいろなロゼットが見られますが、その中の一つキツネアザミです。

切れ込みが細かくて複雑な形が印象的です。
4月から5月にかけて花を咲かせます。

ロゼットは目立たなくて地味な姿ですが、しっかり寒さを乗り切れるよう、応援したくなります。
2022年1月11日(火)
野鳥観察マナーアップキャンペーン実施中!
年も明けて、一年で最も寒くなる寒の内になりました。
葉っぱがすっかりと落ちた梢では鳥たちが飛び交い、次々に冬鳥たちが、北から寒さと一緒に到達しています。
見通しがききやすいこの時期はバードウォッチングの季節!
ルリビタキ(オス)冬鳥
トラツグミ 冬鳥
イカル 冬鳥
アオゲラ 留鳥
モズ 漂鳥
鳥が見やすいこの季節。むさしのの都立公園では野鳥観察の楽しみ方を紹介し、観察時のマナーアップを促進するために「野鳥観察マナーアップキャンペーン」を実施しています。各拠点で配布しているリーフレットをお手に取り、野鳥にも他の来園者にもやさしいバードウォッチングをお楽しみください。

1月8日から2月13日のキャンペーン期間中、むさしのの都立公園の各サービスセンターや掲示板などでパークレンジャー撮影の野鳥の写真展を展示しています。野鳥探しのヒントにしてくださいね。
また、狭山丘陵の都立公園、多摩部の都立公園でも同キャンペーンを実施しています。
今年も皆さんに生きものたちと良い出会いがありますように!
2021年12月26日(日)
くるくると空を舞う種
本格的な冬が始まり、寒い日が続いています。
木々の葉っぱがすっかりと落ち、歩くたびにガサガサ、サクサクと耳を楽しませてくれます。
すっかり葉っぱがちってしまった公園のユリノキですが、枝にまだ花のようなものが・・・

まわりの地面を見てみると、長細い落ち葉のようなものが落ちています。

枝についている花のようなものや下に落ちている長細いものは、じつはユリノキの実なんです。この実は集まっていると花のようにも見えますが、風に揺られてばらばらと剥がれるように落ちていきます。


このバラバラになった一つをよーく見てみると丸い種の部分と羽のような薄い部分でできているのが分かります。

羽のようなと書きましたが、本当に羽としての機能を持っています。
落ちる時にくるくるとプロペラのように回転し、風にうまく乗って遠くに種を飛ばしています。このように羽の生えたような種のことを翼果(よくか)と呼びます。
ユリノキ以外にもトウカエデや、クマシデ、イロハモミジなど風に種を載せて遠くまで運ぶ植物がたくさんあり、落ち葉の中に遠くから飛んできた種が混じっているかもしれません。
是非とも落ち葉の音や感触を楽しむだけでなく、時にはそっとめくってみて、少し観察してみて見つけてみてください!
2021年12月25日(土)
キッズレンジャースクール「生きものなぜなぜ質問箱」の回答 ~ 最終回!~
11月に投稿いただきました
「キッズレンジャースクール~生きものなぜなぜ質問箱~」の回答、最終回です!
みなさん、たくさんの質問をありがとうございました!!
こちらのブログで、パークレンジャーが順次、回答していきます♪
野川公園自然観察センターでも、回答の掲示を行っています(^v^)/

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\では、早速はじめるよ!/
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【モグラについてもっと知りたい人におススメの本】
●モグラの生活(たくさんのふしぎ傑作集)
文・写真:飯島正広/福音館書店
※小学校中学年~
●はじめましてモグラくん(ちしきのもりシリーズ)
川田伸一郎 著/少年写真新聞社
※小学校中学年~
●モグラ博士のモグラの話
川田伸一郎 著/岩波ジュニア新書
※中学生~
●モグラ ハンドブック
飯島正広・土屋公幸 著/文一総合出版



より詳しい情報を知りたい方は、下記のサイトをご覧ください
↓ ↓ ↓
環境省「何が問題なの? 水草、全部切る!?」
https://www.env.go.jp/nature/amezari_mondai.html
環境省「日本の外来種対策 ~アメリカザリガニ~ 」
https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/attention/amezari.html


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みなさん、たくさんの質問をありがとうございました!
生きものや自然についての「なぜなぜ」を通して、生きもの達の暮らしや生きる技などが見えてきましたね。
どの生きもの達も、厳しい自然の中でさまざまな工夫をしながら懸命に生きていて、素晴らしいなと感じます。
自然のことで興味があったり質問があったら、パークレンジャーに会いに来てください!
パークレンジャーは、野川公園をはじめ、武蔵野公園や武蔵国分寺公園にいます。
むさしのの公園ホームページ「自然を満喫!」では、
「パークレンジャーからのメッセージ」のコーナーで季節の見どころなども紹介しているよ!
レンジャーミニ図鑑もダウンロードできるので、ぜひご活用ください♪
↓ ↓ ↓
自然を満喫
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2021年12月18日(土)
キッズレンジャースクール「生きものなぜなぜ質問箱」~ 回答 その③~
11月に投稿いただきました
「キッズレンジャースクール~生きものなぜなぜ質問箱~」の回答、第3弾です!
みなさん、たくさんの質問をありがとうございました!!
こちらのブログで、パークレンジャーが順次、回答していきます♪
野川公園自然観察センターでも、回答の掲示を行います(^v^)/

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\では、早速はじめるよ!/
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空を飛ぶカワセミ

エビを捕まえたカワセミ


オオタカの幼鳥

オオタカが鳥をたべた痕(あと)


草陰で眠っていたアズマヒキガエル
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続きは、また今度!楽しみにしていてね♪
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2021年12月18日(土)
キッズレンジャースクール「生きものなぜなぜ質問箱」~ 回答 その② ~
11月に投稿いただきました
「キッズレンジャースクール~生きものなぜなぜ質問箱~」の回答、第2弾です!
みなさん、たくさんの質問をありがとうございました!!
こちらのブログで、パークレンジャーが順次、回答していきます♪
野川公園自然観察センターでも、回答の掲示を行います(^v^)/

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\では、早速はじめるよ!/
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大きい手のひらを持つアズマモグラ

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続きは、また今度!楽しみにしていてね♪
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2021年12月16日(木)
キッズレンジャースクール「生きものなぜなぜ質問箱」~ 回答 その① ~
お待たせしました!
11月に投稿いただきました
「キッズレンジャースクール~生きものなぜなぜ質問箱~」!
みなさん、たくさんの質問をありがとうございました!!
こちらのブログで、パークレンジャーが順次、回答していきたいと思います♪
野川公園自然観察センターでも、回答の掲示を行います(^v^)/

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\では、早速はじめるよ!/
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「公園を楽しむPLAY_BOOK」は、武蔵野公園や野川公園、武蔵国分寺公園で配布しています。
また、下記のアドレスからダウンロードもできますので、ぜひご活用くださいね!
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
https://musashinoparks.com/playbook/


ヤマトタマムシ

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続きは、また今度!楽しみにしていてね♪
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\\\ イベント情報 @野川公園 ///
12月19日(日)に、キッズレンジャースクール「いきものオンライン質問箱」を
初開催します!
公園や身近にいる生き物について疑問に思ったことを、申し込み時に質問していただき、
イベント当日オンラインでパークレンジャーがお答えします。
対象は中学生まで、定員は10名ですが、視聴のみでの参加も可能です。
視聴のみの方は、質問はできませんので予めご了承ください。
申込みは、HP「イベント情報」の申込みフォームから受付しております。
12/13(月)までの〆切となっておりますが、定員にあきがございますので、引き続き受付しております!!
ぜひ、ご参加ください☆
●HP「イベント情報」ページはこちらから↓
https://musashinoparks.com/app/events/view/1673


2021年11月29日(月)
イチョウの落ち葉
朝晩の風が冷たくなり、コートをはおることも多くなってきました。
公園の木々は色とりどりに染まり、はらはらと落葉する木々も増えています。
公園のイチョウも散り始めて黄色いじゅうたんが一面に広がっています。

野川公園のこの場所は大きなイチョウが林になっていて、多くの人が足を止めてこの時期ならではの景色を楽しんでいました。
落葉の黄色いじゅうたんの上を歩くと、他の木の落ち葉と違ってあまりカサコソ音を立てないのに気が付きます。
ちょっと触ってみると、ひんやり冷たいです。
他の木の落ち葉は少し暖かく感じます。
イチョウの落ち葉はしっとりしていて、水分を含んでいるようです。
では、どうしてほかの落ち葉のように乾いていないのでしょうか。
葉が厚めで油分が多いことで、なかなか乾燥しにくいのかもしれません。
または、他の樹木より葉が乾かないうちに早く落ちてしまう性質を持っているのかもしれません。
そう言えば、イチョウの木は、葉の形も扇形でほかの多くの樹木の葉とは違い個性的です。
そんなイチョウの落ち葉をじっくり眺めてみると…

葉の脈のたてのすじが 途中で二又に分かれているのがわかるでしょうか。
このような葉脈はシダの仲間によく見られ、古い時代に生まれた植物が持つ特徴と言われています。
イチョウの落ち葉がほかの樹木の落ち葉と違う特徴を持つのも、ほかの樹木よりはるか昔に生まれたからかもしれません。
太古のイチョウの仲間も、このように黄色く染まっていたとすると、恐竜も黄葉を眺めていたのかもしれませんね。