パークレンジャーからのメッセージ
パークレンジャーが季節のオススメ情報や自然の見方をガイドします。
2015年9月29日(火)
公園できのこ観察!
いよいよ秋めいてきましたね!
公園にはいろいろなきのこが出ています。
色も形もおもしろく、どこか不思議なきのこたち。今が観察のチャンスです!

雨の後、森の中で落ち葉の溜まったところを見てください
「きのこの国」が見つかるかも!

小さなランプのようなハリガネオチバタケ
乾くとすぐしなびてしまいます

うわあ、これは大帝国!
枯れ木に生えたイヌセンボンタケの群生です。
絶滅危惧種のタシロランに栄養をあげるきのこです。
このきのこのおかげで、葉もない、葉緑素もないタシロランは生きています。

これは美人のきのこですね
暗いところに、ぽっと灯りがともったように立っていました。
ひだは最初白く、後でピンク色になりますからベニヒダタケという名が付いています。

これはよく見るきのこです
枯れ木の根元などに出る硬くて大きなきのこコフキサルノコシカケです。
自分の傘の上にも、周りの葉っぱに茶色い胞子がいっぱい付いています。
「粉を吹く」ように見えるので名前がついたきのこです。

これもきのこですよ!
ちょっとした斜面の下などにいっぱいあります。
真ん中のまるいところを押すと、茶色い胞子をプッと出します。
ツチグリというきのこです。
雨が降ると下の花びらのような部分が開き、晴れて乾燥すると閉じて胞子の袋をつぶします。雨、晴れ、雨、晴れ、そのたびに開いたり閉じたりしながら斜面を降りてくるのです。
そして晴れたらプッツ!晴れたらプッツ!
歩くきのこですね!

芝生にヒトヨタケが出ていました。一晩で溶けてしまうからヒトヨタケ!

こんなふうに!
いろいろなきのこありますよ!
秋の公園で、楽しいきのこ観察いかがですか?
2015年8月30日(日)
展示づくりで大立ち回り!
8月13日から野川公園自然観察センターにて、特別展『パークレンジャーが大好きなえほん』が始まりました。
展示本体の様子は、↓をご覧いただくとして、今日はこの特別展開始前日の様子をちょっとだけ、写真でお伝えします。
http://musashinoparks.com/blog_nogawa/2015/08/21/
お気づきの方も多いかもしれませんが、野川公園自然観察センターの展示は、そのほとんどがパークレンジャーの手作りです。(「パークレンジャーって何?」という方は、ぜひ展示を見に来てください!)
そして、大きな展示替えの直前には、大抵、こんな大工作が繰り広げられています。
「切った張ったの大立ち回り」ならぬ、「切った貼ったの大物作り」です。
(この「大工作」に至るまでに、これまたたくさんの「あーでもないこーでもない」があるんですが…。)
切って…、


貼って…、


整えて…。


大々的に模様替えが行われ、今回の展示も、力いっぱいオススメできる出来となっています。
絵本には、各レンジャーからのおススメポイントも付いています。

お子さんだけでなく、大人の方もぜひ、遊びに来て絵本を手に取ってみてください!
「これ楽しい!」「あ、懐かしい…」そんな絵本に出会えるかもしれませんよ。
2015年7月22日(水)
梢の宝石
夏の日差しがまぶしい日には、たくさんの昆虫たちが活動します。

一際目立っていたのがこのタマムシ(ヤマトタマムシ)。
宝石のような金属光沢を持ち、太陽の光に当たると一層輝いて見えます。
気になるのは、こんなに目立つ色をしていて、
鳥などに襲われてしまわないかということです。
タマムシは、本来はエノキやケヤキのなど樹木の梢周辺を飛び回ったり、
葉を食べたりしています。
葉の上にとまった様子を見てみましょう。

周りの木の葉を見ると、タマムシほどではないけれど、光沢があるのが分かるでしょうか。
この光沢は「クチクラ」というワックスのような層で、日光や水の侵入を防ぐために、多くの木や草が発達させています。
艶のある葉にうまく溶け込むことで、タマムシは鳥などの敵から隠れているのです。
虫が金属光沢を持つ理由には、それ以外にも
●光を反射して目くらましをする。
●光ると鳥が的をしぼれない。
●光っているものを、鳥が食べものと認識しない。
など、諸説あります。
いずれにせよ、この人間にとって美しく感じる色は
鳥にとっては少々厄介な色だったようです。
木や草の先を見てみると、他にも金属光沢を持った昆虫たちがたくさんいます。

コアオハナムグリ

アカスジキンカメムシ

カラスアゲハ
これから日差しが強くなる夏にかけて、金属光沢を持つ昆虫たちが増えてきます。
公園を歩く際には、隠れ上手な小さな宝石さがしにチャレンジしてみませんか。
2015年6月25日(木)
万華鏡のような花
梅雨に入りましたが、雨の中でも生き物はたくましく生きていますね。
今林内を歩いていると、ホタルブクロの花が咲いています。
名前の由来には諸説ありますが、一説には、ホタルを花の中に入れて遊んだことにあるようです。昔の自然がどれだけ豊かだったかが想像できますね。

(※写真のホタルブクロは白色ですが、花の色には個体差があり、赤紫色の方が一般的かもしれません)
花の中にはこんなものが混じっていました。

これは咲くのを失敗したわけではなく、開花前のつぼみの状態です。
開花した花をひっくり返して下から見てみると…

外側からみる模様とは違い、紫赤色の斑点が目立ちます。
これは蜜標(みつひょう)といって、虫に蜜があることを伝えるサインです。
のぞきこむとまるで万華鏡のようで、虫だけでなく、私たちも引き込まれてしまいそうな魅力がありますね。
そんなホタルブクロは、今見頃を迎えています。
ぜひ皆さんも観察してみてくださいね。
2015年5月31日(日)
忍者!ニホンカナヘビ
こんにちは。パークレンジャーの山田です。
最近、巡回をしているとよく「ニホンカナヘビ」に出会います。
ニホンカナヘビは、体の2/3をしめる非常に長い尾が特徴。
日本の固有種で、小さな昆虫やクモなどを食べて暮らしています。
彼らは神出鬼没!いつもひょんなところで見かけます。
例えば、木道の隙間から突然ヒョコッ!「あら、こんにちは。」

そして、フェンスの細い格子にも。
どうしてこんなところに丸まって!?と思ったら
そこだけ日があたり、どうも日向ぼっこをしていたようです。
自分で体温調整できない彼らは、体温をあげるために時々こうした行動をとります。
この場所は、彼にとっての特等席だったんですね。気持ち良さそう~

ひっそりと藪に身を隠すようすや、危険を察知して素早く逃げるようすなどまるで忍者みたい。彼らと出会うと思わず「みっけ!」と嬉しくなります。
公園ではよく見かけますが、彼らが好む日当たりの良い草地や身を隠せる藪は年々少なくなり、東京都北多摩地域の絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。彼らがいつまでものびのびと暮らせるように、公園の緑を大切に守っていきたいと思います。
みなさんもぜひ、彼らを探してみてください!
2015年4月05日(日)
レンジャー自然情報「木々の芽吹きを観察しよう!」
公園にはたくさんの木があります。
春になって、木々がいっせいに芽吹き出しました!
それぞれに個性あふれる芽吹きの様子を見てみましょう。

まずはコナラ
武蔵野の雑木林を代表する木といえばこれですね。
芽吹きの時期には葉に銀色の毛があり、輝くような美しさです。
この時期の雑木林が淡い銀色に包まれて見えるのは、コナラの木が多いからです。

こちらはコナラと並ぶ雑木林の代表樹種クヌギです。
コナラよりやや早く芽吹き、すでに花穂を垂らしています。
煮出した後の茶葉のような、黄褐色の新芽が特徴です。

鮮やかな艶のある緑色の葉を並べるのはエゴノキ。かわいらしいですね!
こちらも雑木林に普通に見られる木です。
この色も遠目によく目立ちます。

元気いっぱいなのはゴンズイ。
枝の左右に対に並ぶ赤い冬芽がほぐれると、一気に緑の葉が出てきます。
あまり大きくならない木ですが、存在感はありますね。

花が終わるころに葉がたくさん出てくるコブシ。
花もくしゃっとしたかんじですが、葉っぱも最初はそんなかんじ。
いかにも葉っぱの赤ちゃんというかんじでかわいい!

よい香りがただよってきそうなサンショウ

赤い毛におおわれたアカメガシワ
どうですか?
みんなそれぞれ個性いっぱいでしょう?
二十四節季ではこの時期を清明(せいめい)と呼びますが、それは「様々な木があることが明らかになる季節」という意味。いろいろ木々の個性が際立つ季節という意味です。
美しい、楽しい、かわいらしい木々の芽吹きの姿。
現代の言葉でいえば、「生物多様性」。
今だから見られる、武蔵野の美しい「生物多様性」の姿を、お近くの都立公園で!
2015年3月27日(金)
「小さな手のひら、空いっぱい!」
春のお日さまが顔をだしたら、
眠っていた木々たちが起きだして、小さな伸びをした。
んぐぐぐ!「春がきた!」

ぱっ!小さな手のひらをひろげた。
生まれたての柔らかなみどり

「春のお日さまって、ほっこりとあたたかいんだなぁ。」
手のひらをいっぱいに広げて、春がきた喜びを全身であらわしているみたい。

小さな手のひら、空いっぱい!

「みんなも両手を広げて、春のやわらかな光を感じてみてね!」
*写真の植物は、紅葉の代表種でもある「イロハモミジ」です。
葉の先が、手のひらのように5~9つに分かれるのが特徴です。
野川公園では、中之橋南側や自然観察園内など各場所で見られます。
2015年2月27日(金)
春を告げる黄金色
まだ寒い毎日ですが、暖かい日も増えてきました。もうすぐ春ですね。
そんな春の足音を伝えてくれる花の一つがサンシュユ。
元々は薬とするために中国からもたらされた木ですが、今では花や実が人気の木になりました。
葉よりも先に黄色の花がたくさん咲き、とっても鮮やか!
木が黄金色になる様子から「ハルコガネバナ」とも呼ばれます。

少し前から咲き出しています。
公園にお越しの際には、ぜひ春を告げるサンシュユをお楽しみください。
2015年1月30日(金)
香りで見つける冬の花
一年で一番寒いと言われるこの時期ですが、あちこちで、スイセンやロウバイが咲いてきています。
近づいてみると、それぞれに良い香りを嗅ぐことができます。
スイセンは、別名「雪中花」とも呼ばれます。
雪の中でも咲き、春の訪れを告げるため、日本では古くから、お正月のおめでたい花として扱われてきました。
欧米では、春の訪れと共に咲くスイセンは、希望の象徴ともされています。
原産地は、地中海沿岸からアフリカ北部、西アジアなどにかけて。そこから、シルクロードを通って東アジアに渡来したといいます。
日本に伝わったのはいつの頃か、確かなことは分からないようですが、平安後期から室町時代、中国を経由して持ち込まれ、比較的暖かい関東から九州の海岸などで野生化したと考えられています。
現在では、8,000種以上もの品種があると言われ、世界中で愛されている花です。

一方で、ロウバイも、花の少ないこの時期に、その鮮やかな黄色と良い香りで、私たちを楽しませてくれる花です。
花が蝋でできたような光沢を持ち、また、12月(臘月)頃から咲き始めることから、この名がついたと言われています。
公園などでよく見られるのは、花の中心まで黄色の「ソシンロウバイ」。
本来の「ロウバイ」は、花の中心がえんじ色をしています。
見かけたら、ちょっと花の中をのぞいて見てくださいね。

2014年12月17日(水)
愛情マーク
姿は見えなくても、そこに生きものがすんでいることが分かるものを、「フィールドサイン」と呼びます。
木々の葉が落ち、見通しが良くなった林内で、こんなフィールドサインを見つけました。

○の中に点が一つ。まるで目玉模様のようです。
これがなんだか分かるでしょうか。

これはコクワガタが卵を産む時につけるマーク。
コクワガタのメスは卵を産んだ後、そのまわりを囲むように溝を掘ります。
すると、その溝から雨水や夜露が染み込んで、乾燥から卵が守られるのです。
目玉のように見えたのは、母クワガタの愛情がたっぷり詰まったマークだったのです。
みなさんも、冬の公園で生きものの「サインさがし」を楽しんでみませんか。