【ニッポン発見!】
日本人が大好きなサクラ。サクラの新しい楽しみ方を知って、
今年は新たな視点でコロナ禍ならではのお花見をしてみませんか?

武蔵野公園のソメイヨシノはもう満開。
今年もお花見をシーズンがやってきました。

今年は新型コロナウイルスの関係で、
どうしてものんびりお食事をしながらお花見、
というわけにはいかない状況です。
ただ、サクラという植物は、じっくり見るともっとたくさんの楽しみ方ができるのです!
そこで、今回はゆっくり散策しながら楽しめる、
サクラの楽しみ方をご紹介します。
サクラと言うと、まずソメイヨシノを思い浮かべる方も多いと思いますが、
サクラは野生のもので世界に約100種、日本には10種程度あると言われています。
まずは武蔵野公園で見られる野生のサクラ類です。

まずはヤマザクラ(咲き始め)
元々日本の里山にも多く自生する種類です。
個性豊かで、花色や枝ぶりも様々です。
ソメイヨシノは花が終わってから葉が出ますが、
このヤマザクラは花と葉が同時に見られます。

続いてオオシマザクラ(咲き始め)
白味の強い種類で、香りが強く、
葉は桜餅の材料にも使われます。

このブドウの房のように小さな花をつけているのはウワミズザクラ。(未開花)
他のサクラよりも開花が遅く、4月下旬頃から見られるようになります。
花は小さいですが、蜜の量は抜群で、虫たちの憩いの場になります。
花を楽しむというと、やはりソメイヨシノですが、
ソメイヨシノは品種改良で生まれ、種から育つことができません。
そのため、挿し木というクローンのような増やし方で育てられます。
クローンなので個性が弱く、同じ環境に生えるものはみんな同時に咲き、
一斉に散ってしまうので、楽しめる期間が短いのが特徴です。
それに対して、野生のサクラは1本1本がみな個性を持っており、
開花の時期も枝ぶりも花の色もとっても個性的!
3~5月の比較的長い間、色々な種類を楽しめます。
さらに、それだけではありません。
サクラをこよなく愛する日本人は、
より多くの花や蜜、香りを楽しむために多くの品種を生み出しました。
その数なんと600とも言われています!
奈良時代まではお花見と言ったらウメでしたが、
平安時代以降はサクラ中心に変わっていき、多くの品種が育てられました。
武蔵野公園には30種を超える品種が育成されています。
ここではごく一部ですが、紹介したいと思います。

この真っ白な花をつけているのは、シラユキ。(咲き始め)
公園の入り口付近で見られ、その白さは多くの品種の中でも際立っています。

八重咲の豪華な姿をしているのは、カンザン。(未開花)
色が濃く、花数も多いので、
木全体が淡いピンク色に染まったように見えます。

黄色味が強いちょっと風変わりな花を咲かせているのは、ウコン。(未開花)
花を染料のウコンで染めたように見えることから、この名前がつきました。

八重咲の大きな花をつけているのは、フゲンゾウ。(未開花)
この花の特徴は長い2本のめしべが伸びること。
これを普賢菩薩が乗るゾウの牙に見立てて、この名前がつきました。
他にも色も花の形も枝ぶりも個性的なサクラがいっぱい。
遠くから眺めるのもいいですが、今年はぜひサクラの木の下を散策し、
一つひとつの花の個性を楽しんでみてください。
また、サクラは人間だけでなく、
他の生きものにも大人気なのです!

蜜を求めて、花から花へ飛び回るのはメジロ。
花の蜜が大好きで、長い舌を伸ばしておいしそうになめています。

こちらはヤマトタマムシ。
成虫は夏に現れ、サクラの葉などを食べるほか、
幼虫は枯れ木の中で育ち、特にサクラ類の枯れ木・倒木に多く見られます。

芽吹いたばかりのサクラの葉っぱを見てみると、
根元に赤い膨らみがあります。(黄色い○印)
これは蜜腺といって、花以外にここから甘い蜜を出します。
そこに寄ってくるのが、甘いものが大好きなアリです。
アリは群れでやってきて、蜜をなめるのですが、
この蜜源を守るため、サクラの葉を齧ろうとする生きものを攻撃するのです。
ガの幼虫イモムシや、コガネムシなどは、とても近づけません。
この蜜腺で、アリという強力なボディガードを雇っているかのようです。
これらの生きものは花のシーズンだけでなく、
1年中サクラの木に集まってきます!
サクラの花は本当に個性的。
ゴールデンウィーク頃までは入れかわり立ちかわり、違ったタイプの花を楽しめます。
また、年間を通して、生きもののつながりを見ることができます。
ゆっくり座ってお花見を楽しむことが難しい状況だからこそ、
新しいサクラの楽しみ方を体験してみませんか?