「アカミミガメ防除講習会」を開催しました!
「アカミミガメ」というとあまり馴染みがないかもしれませんが、
「ミドリガメ」ならどうでしょう?
お店でペットとして売られていることの多い、あの「ミドリガメ」の正式な名前が「ミシシッピアカミミガメ」です。

売られているのは小さな生まれたばかりのカメですが、実は20年以上も生き、大きさは30cm程度にまで成長します。大きくなって管理しきれなくなったなどの理由で、捨てられたアカミミガメたちが、今全国で問題を起こしているのです。例えば・・。
●日本のカメの棲みかを奪う。
●魚や貝、さらにはカルガモのヒナなどを食べてしまう。
●農作物のレンコンなどを食い荒らす。
このような被害が知られています。
今年になって環境省から「早急に対策が必要な種」として「緊急対策外来種」に指定されてしまいました。
武蔵国分寺公園など都立公園の池でも、あちこちでこの問題が起こっています。
そこで、「アカミミガメなど外来種の影響をなくし、日本のカメが暮らしやすい池にする」ため、外来種のカメへの対策方法を学ぶ講習会を2日間連続で開催することになりました。
この講習会を毎年開催しているのが「認定NPO法人生態工房」のみなさん。
「都立井の頭恩賜公園井の頭池のかいぼり」など、外来種防除で最先端の活動をされている団体です。
最初に事務局長の佐藤方博氏から、今何が起こっているのか、なぜ防除が必要なのか等趣旨説明を頂きました。

続いて、講師の東邦大学の長谷川雅美先生、和亀保護の会の西堀智子氏、北川かっぱの会の清水淳氏から、カメの捕まえ方や全国の事例・先進的な取り組み等の紹介をして頂きます。
革新的な罠を使った最新手法を聞けるなど、貴重な情報満載の講義となりました。

方法が分かったら、いよいよ実践!
胴長靴を履いて、全員で武蔵の池に入ります。
慣れない装備で足元がおぼつかない・・。

講師の方々のレクチャーを受けながら、カメがいそうな場所に次々とエサを入れた罠を仕掛けていきます。これを1日おいて、中に生きものが入っているかどうかを確認します。

翌日27日。罠の中を確認しました。緊張の一瞬です!

各班の罠の中身を持ち寄り、全体で確認します。

なんと、甲羅の長さが20cmはありそうな、大きなアカミミガメの捕獲に成功しました!

他にも南米原産のナマズの仲間、コリドラスの一種も見つかりました。
熱帯魚として、アカミミガメ同様ペットとして人気の高い種類です。
これも捨てられてしまったのでしょう。この池にいても、冬は乗り越えられないかもしれません・・。

つかまえたカメは、サイズを測り、印をつけます。
講師の方々が、専用のノギスなどを使い、正確な測り方をレクチャーしてくれます。

国分寺公園で保護されたクサガメの「くさ吉」たちも計測実習に協力してくれました。

罠にかからなかった生きものが他にいるかもしれない!ということで、
最後に曳網による捕獲を実演!

メダカ3匹、モツゴ100匹以上、大きなコイ1匹などたくさんの魚もつかまり、「ミニ水族館」として、来園者の皆様にも楽しんで頂きました。
「こんなにたくさんの生きものがいるんだ!」
など、驚きの声がたくさん聞こえ、目をキラキラさせながら、水槽を食い入るようにご覧になっていた方が、なんと271名!
子どもから年配の方まで、たくさんの生きもの好きが集まりました。

アカミミガメが全国に広がり、被害も拡大している今、全国規模で最も効率の良い方法を使って防除することが求められています。
今回の講習会では、カメの捕獲方法を学ぶだけでなく、最新情報や課題を共有しました。
講習会を通してつながりが出来、困ったことがあったら相談出来るネットワークを築けたことは、外来種問題の解決に向けて、大きな一歩になったと思います。
また、外来種をいくらとっても、再度放されてしまえば効果はあがりません。
「外来種」と呼ばれる生きものたちは、自分が来たくて来た訳ではなく、人間が何らかの理由で連れてきて、放してしまったために来てしまったのです。
つまり、人間が意識すれば外来種問題は抑えられるのです。
今回、池にどんな生きものが棲んでいるか多くのみなさんに見て頂いたのは、こういったことを少しでも知ってほしい、という想いがありました。
私たち一人一人が、周りに棲んでいる生きものに興味を持って、昔からいるカメやカエルなどの生きものたちが暮らせる場所を残していきたいですね。
ご参加のみなさま、ありがとうございました!
