2018年1月31日(水)
小さな土職人
先日の大雪の名残はあちこちに残り、厳しい寒さが続いています。
雪景色の中だと、一際目立つのが、この丸太の山。
ここは「エコスタック」といって、公園内の雑木林の手入れをした際に
発生した木材を、生きもののすみかとするために活用したものです。
でも、この寒い季節、果たしてどんな生きものがいるのでしょうか?
エコスタックに近寄ってみると…。
ん?雪がこびりついている??
これは、カイガラタケ類といって、キノコの仲間です。
キノコたちは、森の中で非常に重要な役割を果たしています。
キノコが生えると、枯れ木は次第にやわらかくなっていきます。
そうすると、多くの昆虫たちがすめるようになるのです。
次に、だいぶやわらかくなった「朽木」を動かしてみました。
なにやら、朽木や土のところにボロボロにかじられたようなトンネルが・・。
その下を見ると…。
出ました!!
丸々としたカブトムシの幼虫がワラワラと!
野球ボールくらいはありそう??
カブトムシのいた辺りを見てみると・・。
かみ砕かれた木屑と、1cmくらいの四角い塊。
一つをつまんでみました。
これは、カブトムシの幼虫のフンです。
試しに崩してみました。
まるで土のよう。
実はこれ、本当に土の材料となるのです。
カブトムシは朽木や落ち葉などを細かく砕き、土にかえす役割を果たす生きもののひとつ。
その流れは、こんな感じです。
①まずはキノコが生えて、柔らかくなる。
②次に硬い枯木を好む昆虫が食べ進む。(キクイムシなど)
③その次に、比較的やわらかい朽木を好む昆虫が食べる。
(クワガタムシ、カミキリムシ、シロアリなど)
④やわらかく腐ったものを好む生きものが食べる。
(カブトムシ、コガネムシ、ミミズなど)
⑤その他目に見えないカビやバクテリアなどが分解する
こうして、硬かった木は、多くの生きもののつながりの中で、
土に還っていくのです。
成虫になれば、木々から食べものをもらっているカブトムシも、
幼虫の頃は土をつくって、木々に返している。
そんな「土職人」とも言える役割を果たしているのです。
公園では、来園者の皆さんに危険がない場所であれば、
あえてこういった枯れ木や朽木は除去していません。
その下では、土職人たちがせっせと働いているかもしれないからです。
皆さんも、何かの機会に朽木の中の生きものを見かけた際には、
そっと埋め戻してあげてください。
そうすれば、森の土が豊かになり、
次の夏には、立派な成虫のカブトムシに出会えるかもしれません。